介護の仕事に興味はあるけれど、「体力的についていけるか不安…」と感じている方は多いのではないでしょうか。
入浴介助やベッド移乗などの身体介護を想像して、「自分には無理かもしれない」と躊躇してしまう人も少なくありません。
ですが実際の介護現場では、体力的な負担を軽減する工夫や、業務内容に応じた柔軟な働き方が用意されていることも多く、体力に自信がない人でも活躍している例はたくさんあります。
この記事では、「介護職に必要な体力とは具体的にどれくらいなのか?」という疑問に対して、現場の実情や職場ごとの違い、負担を減らす工夫、働いている人の声などをもとにわかりやすく解説していきます。
不安を抱えている方も、この記事を読めば少し前向きな気持ちになれるはずです。
なぜ「介護=体力が必要」と言われるのか?
介護職は、「体力がないと続かない」「体を壊しそう」といったイメージを持たれやすい仕事です。実際、介護業務には体力を使う場面が多く存在します。特に以下のような場面では、筋力や持久力、集中力が求められることがあります。
- 移乗介助(ベッドから車椅子への移動など)
- 入浴介助や排せつ介助など、身体を支える力が必要な作業
- 夜勤や長時間の立ち仕事による疲労の蓄積
また、身体的な疲れだけでなく、感情労働の側面も無視できません。
利用者の不安や怒りに寄り添ったり、認知症の方と根気強く向き合ったりするには、**精神的な体力(メンタルの安定や切り替えの力)**も求められます。
さらに、職場によっては「人手不足で常にバタバタしている」「休憩が取りにくい」など、環境による疲れやすさもあります。
ただし、こうした大変さは職場の体制や働き方の工夫次第で軽減できることも多く、すべての介護現場が「体力的に過酷」というわけではありません。
実際にどのくらいの体力が必要なの?
介護の仕事は確かに体を使う場面があるものの、特別な筋力や若さが求められるわけではありません。
実際に働いている人の中には、運動が苦手な人や50代・60代で未経験からスタートした人も多くいます。
介護職において本当に必要なのは、アスリートのような力強さではなく、以下のような“持久力”と“コツ”です。
- 1日中立って動き回れる程度の体力(ウォーキング1万歩レベル)
- 腰や膝を痛めないための正しい姿勢(ボディメカニクス)
- 睡眠・食事・休息を整えた生活リズム
また、「慣れ」も大きな武器になります。
最初は重く感じた動作でも、身体の使い方を覚えたり、力の入れ方に無駄がなくなったりすることで、日を追うごとに疲れにくくなるケースがほとんどです。
重要なのは、「無理をしない」「疲れたら休む」「相談する」といったセルフケアと、一人で抱え込まないチームワーク。これが整っていれば、体力に自信がない人でも十分にやっていけます。
体力に不安がある人におすすめの働き方・職場
介護職と一口に言っても、施設の種類や勤務形態によって体力の負担は大きく異なります。
「体力にあまり自信がない」という方でも、無理なく働ける職場は意外と多いのです。以下に、体力面で比較的働きやすい施設や働き方を紹介します。
デイサービス
- 利用者が日帰りで通う施設
- 入浴介助はあるが、夜勤や深夜対応がないのが大きなメリット
- レクリエーションや見守りが中心で、動きはあるものの比較的負担が軽い
グループホーム
- 少人数の認知症高齢者と共同生活する施設
- 家庭的な雰囲気の中で、掃除・調理・見守りなどが中心
- 身体介護もあるが、時間に追われずじっくり関われる現場が多い
有料老人ホーム(介護付き)
- 施設ごとに介護度や仕事内容の差が大きいが、設備が整っていて身体負担が軽減されているケースも
- シフトに余裕がある職場を選べば無理なく続けやすい
- 時短勤務・パート勤務を選ぶことで、週2〜3日からのスタートも可能
- 夜勤なしの固定日勤シフトを希望すれば、生活リズムも整えやすい
- ハローワークや転職サイトでは「体力負担少なめ」や「軽介助中心」と記載のある求人を選ぶのもおすすめ
体力に不安がある方は、「どんな施設か」だけでなく、「どんな働き方ができるか」にも注目しましょう。
無理のない働き方を選べば、長く安定して続けることができます。
現場で実践されている体力負担を減らす工夫
介護の仕事は体力を使うイメージがありますが、現場ではスタッフの負担を軽減するための工夫が年々進化しています。
ここでは、実際に行われている対策をいくつかご紹介します。
福祉用具の活用
近年は、利用者の体を持ち上げる場面でリフトやスライディングシートといった福祉用具を使用する施設が増えています。
特に体重の重い方の移乗や入浴介助などで、腰や腕への負担を大幅に軽減してくれる頼れるツールです。
ボディメカニクスの徹底
正しい介助姿勢(ボディメカニクス)を身につけることで、身体への負担を最小限に抑えることができます。
腰を痛めにくい立ち位置や力のかけ方などを新人研修や定期勉強会で教えている施設もあり、知識だけで疲れ方が大きく変わるのです。
チームで支える体制
介助が必要な場面では、「一人で抱え込まない」が基本。
2人介助を前提とした対応や、職員同士の声かけ・協力体制がある現場では、無理なく仕事を進められます。
こまめな休憩とストレッチ習慣
介護現場では忙しくても“休めるときにしっかり休む”ことが推奨されており、
- 交代で休憩を取る
- 腰や肩のストレッチを取り入れる
といった日常的な対策を通じて、疲労の蓄積やケガの予防につなげています。
このように、体力的な不安を軽減するための取り組みは、現場でもしっかりと行われているのが現状です。
自分の体に無理をさせずに、安心して続けられる工夫がある職場を選ぶことが、長く働くコツでもあります。
実際に働く人の声
「介護の仕事って体力的にきつそう…」と不安に思っている方も、実際に現場で働いている人の声を聞くことで安心できることがあります。
ここでは、年齢や経験の異なる3人の体験談を紹介します。
Aさん(女性・40代/未経験スタート・デイサービス勤務)
もともと体力に自信がなくて心配していましたが、デイサービスは夜勤もなく、
比較的ゆったりした雰囲気で仕事を覚えられたので安心でした。
利用者さんと一緒に体操をしたり、お茶を出したりするのが中心で、無理なく始められました。
少しずつ慣れてから入浴介助にもチャレンジしましたが、先輩がずっとそばについてくれて心強かったです。
Bさん(男性・30代/転職組・特養勤務)
最初は「体を壊すかも」とビビっていましたが、正しい介助のやり方(ボディメカニクス)を教えてもらってからは腰への負担が激減。
コツさえ覚えれば、余計な力を使わなくて済むんだなと実感しました。
リフトや介助器具も活用されていて、一人で無理に抱えることもありません。
Cさん(女性・50代/グループホーム勤務)
年齢的に大丈夫かな…と思いましたが、少人数ケアで一人ひとりと丁寧に関われるグループホームは、私に合っていました。
家事の延長のような業務も多く、掃除や調理、見守りといった仕事は無理なくできています。
若いスタッフに助けられることも多いですが、お互いに支え合えていて居心地がいいです。
このように、年齢や体力に不安があっても、自分に合った職場や環境を選べば長く続けられることが分かります。
実際に働いてみて「思っていたよりも大丈夫だった」という声は多く、不安を抱えているのはあなただけではありません。
体力に不安がある人が介護職に一歩踏み出すために
「興味はあるけど、体力に自信がないから…」と、介護の仕事に踏み出せずにいる方は少なくありません。
でも実際には、体力に不安を抱えながらもスタートして、今も現場でいきいきと働いている人はたくさんいます。
まずは、情報を集めるだけでも立派な一歩です。
未経験・体力に不安がある人向けの求人を見たり、地域の介護人材センターやハローワークで相談してみたり、興味のある施設を見学するだけでも、だいぶ印象が変わります。
また、最近では**「体験入職」や「短時間勤務」など柔軟な働き方を提案してくれる職場も増えており、最初からフルタイムで働く必要はありません。**
介護の現場には、あなたのように「誰かを支えたい」という気持ちを持った人を待っている場所がたくさんあります。
完璧な体力や経験ではなく、相手に寄り添おうとする気持ちが何よりも大切です。
まずは、小さな一歩から始めてみませんか?
まとめ
介護の仕事には体を使う場面が多く、「体力がないと無理なのでは?」と不安になる気持ちはよくわかります。
たしかに移乗介助や入浴介助などで体力を使うことはありますが、すべての介護職がハードなわけではなく、働き方や職場選び次第で負担を大きく軽減することができます。
リフトや福祉用具、正しい姿勢、チームでの協力など、体力的な負担を和らげる工夫も年々充実しています。
また、デイサービスやグループホームなど、体への負担が少ない職場もあるため、自分に合った場所で無理なく働くことも十分可能です。
何より大切なのは、完璧な体力ではなく、人を思いやる気持ちと前向きな姿勢。
あなたのやさしさや気づかいが、現場で本当に必要とされる力になります。
「体力に不安があるから」とあきらめず、自分に合ったスタートの方法を探してみてください。