※あくまで目安になります
評価の解説(クリック・タップで展開)
【年収③】
若手は低めだけど、経験・腕次第で上がる。独立すると上限も広がる。
【就職のしやすさ④】
未経験OKの求人が多く、職人不足で入りやすい。
【働きやすさ②】
肉体労働+天候に左右される。休日も少なめでハード。
【将来性④】
リフォームやリノベ需要で一定のニーズあり。ただし人口減少の影響は注意。
【安定性②】
需要はあるが、景気や季節で波が出ることも。
大工の主な仕事内容とは?

木造建築の骨組みをつくる
大工の基本的な役割のひとつが、住宅や建物の「骨組み」をつくることです。これは建築における「構造体」を構築する作業で、柱・梁(はり)・床・屋根などの主要部分を、木材を使って組み上げていきます。
近年は、あらかじめ工場でカットされた「プレカット材」を使用することが増えており、現場での作業効率は上がっていますが、現場に合わせて細かく調整するのはやはり大工の腕の見せどころです。
現場では、図面をもとに材料を配置し、水平・垂直を確認しながら慎重に組み立てていきます。構造体は建物の安全性を左右するため、精度が非常に求められる作業です。また、上棟(建物の骨組みが完成するタイミング)までの期間は特に忙しく、複数人のチームで連携して作業に当たります。
内装仕上げやリフォームも担当
木造建築の構造だけでなく、大工は内装の仕上げ作業やリフォーム工事も行います。床板の張り付け、天井の施工、建具(ドア・ふすま)の取り付け、収納スペースの造作など、室内の「見える部分」の美しさを左右する重要な仕事です。
新築工事だけでなく、リフォームやリノベーションの現場でも大工の技術が求められます。古くなった柱や床を補強したり、間取りを変えるために壁を解体・再構築したりと、「住まいを再生する技術者」としての役割も大きいのです。
また、リフォームでは既存の建物の状況に合わせた臨機応変な施工が求められるため、経験と判断力がとても重要。長年の経験を積んだベテラン大工ほど重宝される現場です。


墨出し・刻み・組立てなど工程ごとの作業
大工の仕事は、単に「木を組み立てる」だけではありません。建築の各工程で専門的な作業があり、それぞれに熟練の技が必要です。
最初のステップが「墨出し」。これは建築図面をもとに、実際の床や柱の位置を現場に正確に記す作業で、建物全体の精度を左右する非常に重要な工程です。
次に「刻み」と呼ばれる作業があります。これは、木材を加工して、接合部にホゾ(凸)やホゾ穴(凹)をつくること。現在はプレカットが主流ですが、伝統工法や特殊な部位では今でも手刻みの技術が活かされています。
最後に「組立て」作業。加工された木材を現場で実際に組み上げ、建物の骨組みを完成させます。力仕事であると同時に、正確な寸法感覚・バランス感覚が求められる緻密な作業です。
これらの工程を通して、大工は一棟の建物を文字通り「形にする」存在。だからこそ、職人としての誇りと責任を持って作業に取り組む人が多いのです。
1日の仕事の流れ
朝の準備・現場への移動
大工の1日は朝が早いのが特徴です。集合時間は朝7:30〜8:00が一般的で、職場に一度集合してから現場へ向かう場合と、現場へ直行する場合があります。
朝6:30 起床 → 7:00 家を出る → 7:30 現場集合
現場に到着すると、まずは朝礼や安全確認ミーティングを行い、その日の作業内容・チーム分け・注意点などを確認します。その後、道具や材料の準備を整え、8:00前後から作業を開始するのが一般的な流れです。
午前中の作業内容
午前中は、一番体力が必要な作業や集中力が必要な作業を行うことが多いです。
例として、新築現場なら構造体の組立て、リフォーム現場なら床や壁の撤去・補強工事が挙げられます。
- 墨出し作業(柱や壁の位置を正確に印す)
- 木材の加工(現場での調整カット)
- 柱の建て込み/床の骨組みづくり
- 電動工具の使用や重い資材の搬入
午前10:00ごろには「10時の休憩(いわゆる“10時の一服”)」があり、30分ほど休憩を挟みます。
その後12:00まで作業を続け、12:00〜13:00が昼休憩になります。
午後の作業と終業後の片付け
午後は、午前の続き作業や、仕上げ作業・調整作業を行うことが多いです。
この時間帯は疲れも出てくるので、無理をしない・安全重視の作業が中心になります。
- 内装の下地作業(天井・壁材の取り付け)
- 建具の調整(扉や収納棚の取り付け)
- フローリングやクロスの下地整備
- 図面のチェックと進捗報告
15:00ごろに「午後の休憩(15時の一服)」を入れて、再び30分ほどの休憩。
その後、17:00前後まで作業を行い、最後は道具の片付け・清掃・翌日の段取り確認をして終業します。
16:45 作業終了 → 掃除・道具収納 → 17:15 解散(または職場に戻って報告)
現場作業中心の大工の仕事は、早起き&体力勝負ではあるものの、
自分たちの手で建物が完成していく達成感を味わえる仕事です。
特に、一軒家が1日1日と形になっていく様子を間近で見られるのは、大工ならではの魅力でしょう。
現場ごとの働き方の違い
大工と一口にいっても、現場の種類によって働き方や求められるスキルは大きく異なります。ここでは「新築とリフォームの違い」、そして「戸建てと商業施設の違い」という2つの観点から解説していきます。
新築 vs リフォームの違い
新築工事の特徴
新築工事とは、ゼロから建物をつくる仕事です。地盤の基礎工事が終わったあと、土台・柱・梁を立てていく「構造体づくり」からスタートします。現場は整然としており、図面通りに正確な作業を進めやすいのが特徴です。
また、ほかの職人(電気工事士、水道工事業者など)との工程管理がしっかり決まっているため、段取りに沿って効率的に進められるというメリットがあります。
- プレカット材の使用が多く、精度重視
- 作業工程が明確で、スケジュール通り進行
- 屋根や外壁ができるまでは天候の影響を受けやすい
リフォーム工事の特徴
一方、リフォーム現場は既存の建物を部分的に修繕・改修する仕事です。床や壁を壊したときに想定外の構造が出てくることも多く、臨機応変な判断力や経験値が問われます。
また、住人が暮らしながら工事を進めるケースもあるため、養生や騒音・ホコリへの配慮、柔軟な対応力も求められます。
- 現場の状況に応じた即時対応が多い
- 古い建物特有のゆがみ・傷みへの対処が必要
- 顧客対応力や説明力も重要
新築 | リフォーム | |
---|---|---|
工程の明確さ | ◎(計画的) | △(現場対応多め) |
必要な判断力 | ○ | ◎ |
お客様対応 | 少なめ | 多め |
求められるスキル | 精度・計画性 | 経験・柔軟性 |
戸建て vs 商業施設の違い
戸建て住宅の現場
戸建て住宅の現場では、1棟あたりの規模は小さめでも、すべての工程に大工が関わることが多いです。家の構造から内装、造作家具の取り付けに至るまで、「家一軒を仕上げる」感覚で仕事ができるのが魅力です。
また、施主(お客様)と顔を合わせる機会が多く、完成時に直接「ありがとう」と言ってもらえるやりがいもあります。
- 少人数のチームで一貫対応
- 現場ごとに仕上がりの個性がある
- 顧客との距離が近い
商業施設・大規模建築の現場
ショッピングモール、飲食チェーン、オフィスビルなどの商業施設では、短期間で大量の作業を進める現場も多く、分業制が基本です。大工は、主に壁・天井・造作棚などの内装パーツ施工を担当することが多いです。
工期はタイトなことが多く、夜間作業や連日の残業が発生することも。ですが、大規模案件の実績を積めるチャンスでもあります。
- チームでの連携が必須
- 工期重視のスピード感が求められる
- 高度な施工図・管理下で作業するため精密さも必要
戸建て住宅 | 商業施設 | |
---|---|---|
チームの規模 | 小〜中規模 | 大規模(分業) |
顧客との距離 | 近い | ほぼなし(法人相手) |
工期 | ややゆとりあり | タイトでスピード重視 |
現場によって求められる力が違うからこそ、経験を重ねていくほどに活躍の場が広がっていくのが大工という仕事の面白さです。
大工のやりがい・大変なこと
大工のやりがい
- 自分の“手”で形に残る仕事ができる
-
大工は、図面や設計から始まり、実際に家や建物を「形にしていく」職人の代表格です。床を張り、柱を立て、屋根を作る…と、一つひとつの作業が積み重なって目に見える成果として現れます。
- お客様から直接「ありがとう」がもらえる
-
現場によっては施主(建て主)とのやりとりがあり、完成時や引き渡しの際に感謝の言葉をもらえることもあります。特にリフォームや注文住宅などでは、お客様の“理想の住まいづくり”に直接関わることになるため、感動もひとしおです。
- 経験がモノを言う職人の世界でキャリアアップできる
-
学歴や資格よりも、現場での経験や実力が評価されるのが大工の世界。若いうちから「○○工務店の○○さんは腕がいい」と評価されることも珍しくありません。
スキルを磨いていけば、職長(現場のリーダー)や一人親方、さらには工務店を立ち上げる道も見えてきます。 - 独立すれば自分の裁量で働ける
-
職人として独立すれば、仕事内容・スケジュール・報酬などを自分でコントロールできます。信頼関係と技術さえあれば、「紹介だけで仕事が回ってくる」という人も多く、働き方の自由度が高いのも魅力です。
大工の大変なこと
- 体力勝負&暑さ・寒さとの闘い
-
現場仕事のため、夏の猛暑・冬の寒さの中で作業することが当たり前。とくに屋根の上や足場の高所では、直射日光や風の影響も受けやすく、体力と集中力の両方が必要です。
- 朝が早く、拘束時間が長いこともある
-
現場作業は朝8時前にはスタートが多く、朝6時台に家を出ることも日常茶飯事。現場によっては片付けや翌日の準備があるため、17〜18時を過ぎることもあります。体力だけでなく、生活リズムを保つのも大切。
- ミリ単位の正確さが求められるプレッシャー
-
大工仕事では、たった数ミリのズレが全体の仕上がりに影響することもあります。特に内装や建具の取り付けなどは、**「見た目が命」**の世界。寸法ミスは後々のトラブルにもつながるため、常に丁寧な仕事が求められます。
- ケガのリスクがある
-
電動工具、重たい資材、高所作業…と、危険がつきものの仕事でもあります。だからこそヘルメット着用や安全帯の使用、KY(危険予知)活動などの安全意識が重要。新人のうちは特に、慣れすぎず慎重に行動することが大切です。
大工は「ハードだけど、やりがいの塊」のような職業です。
家づくりに深く関わり、自分の手で“形に残る仕事”をしたい人には、まさに天職ともいえるでしょう。
大工の主な働き方
大工には主に次の3つの働き方があります。
- 建築会社・工務店に正社員として勤める
-
もっとも一般的な働き方で、安定した収入と社会保険が魅力。現場での経験を積みながらスキルアップを目指せます。
- 個人事業主(=一人親方)として独立する
-
経験を積んだ後、自分で仕事を請け負って働くスタイル。自由度が高く、収入も実力次第ですが、営業や事務も自分でこなす必要があります。
- 下請け業者・職人チームに所属する
-
知り合いの親方や元請け企業から仕事を紹介されて、現場ごとに働くケース。日給制が多く、柔軟に働ける一方で、収入の安定には注意が必要です。
どの働き方でも、実力があれば長く活躍できるのが大工という職業の魅力です。
大工の平均年収・月収の目安
大工の平均年収は約350万円〜500万円前後が一般的とされており、経験や働き方によって大きく変動します。
月収ベースでは25万円〜40万円前後が多く、正社員・日給制・独立(請負)など、雇用形態によっても差があります。
特に「一人親方(独立大工)」になると、年収600万円以上を稼ぐ人も珍しくありません。
ただし、天候や現場の有無によって収入が安定しないケースもあるため、安定性とのバランスが大切です。
大工になるための主なルート
大工になるには、主に以下の3つのルートがあります。
- 工務店や建築会社に就職し、現場で学ぶ(最も一般的)
- 職業訓練校や専門学校を卒業してから就職する
- 親方のもとで見習いとして働きながら技術を習得する
特別な学歴や資格は不要で、未経験からでもスタート可能。
まずは現場で経験を積みながら、必要な技術や知識を身につけていくのが王道です。
就職・独立のキャリアステップ
大工のキャリアは、主に以下のようなステップで進んでいきます。
- 見習いとしてスタート(道具の使い方・現場の流れを学ぶ)
- 中堅職人へ成長(柱の建て込み・内装作業などを1人でこなせる)
- 職長・現場リーダーへ昇格(他職人をまとめ、現場全体を管理)
- 独立して“一人親方”になる(仕事を自分で受注・請負)
独立後は、個人で仕事を受けるだけでなく、工務店を立ち上げたり、若手を育成する立場に進む人もいます。
スキルと信頼を積み重ねれば、収入・自由度ともに広がる職業です。
大工に向いている人の特徴
現場仕事が中心なので、体力と集中力、協調性がある人に向いています。
未経験でも「やる気」と「礼儀」があれば、十分に活躍できます。
建設業界における大工の現状
建設業界、とくに大工の世界では、深刻な人手不足が続いています。かつては町に必ずいた存在だった大工も、近年では大きく数を減らしており、総務省の調査によれば1980年に約93万人いた大工は、2020年には30万人を切るまでに減少しています。さらに、そのうちの4割以上が60歳以上と、業界全体の高齢化も進んでいます。
このように現場の担い手が減る一方で、若手の入職者はなかなか増えていません。背景には「3K(きつい・汚い・危険)」といったイメージや、朝が早く体力も必要という現場仕事ならではの厳しさがあります。また、労働時間の長さや給与の不安定さなどから、建設業を志す若者が少なくなっているのが現状です。
この若手不足により、今後は熟練大工からの技能継承が難しくなると危惧されています。昔ながらの木組み技術や細やかな手仕事など、長年の経験から培われる技術が途絶えてしまう恐れがあるのです。こうした課題に対応するため、建設業界では若手育成に力を入れ始めており、職業訓練校や資格支援制度の整備、デジタル技術の導入なども進められています。
大工という仕事は、現場での経験を重ねて一人前になる“職人の世界”です。だからこそ、技術の継承や人材確保は業界全体にとって極めて重要なテーマとなっています。
大工の将来性はある?今後も仕事が続くのかを徹底解説!
女性大工として働くには?必要なスキル・キャリア・現場での評判
大工の一部企業
鹿島建設株式会社
1840年創業の大手総合建設会社で、国内外の大型プロジェクトを多数手掛けています。
清水建設株式会社
1804年創業の老舗建設会社で、建築・土木の両分野で高い実績を持ちます。
株式会社竹中工務店
1610年創業の歴史ある企業で、設計から施工まで一貫して手掛ける特徴があります。
大林組
1892年創業の総合建設会社で、高層ビルやインフラ整備に強みを持ちます。
大成建設株式会社
1873年創業で、建築・土木・開発事業を展開し、国内外で多数の実績があります。
五洋建設株式会社
1896年創業で、海洋土木工事に強みを持つ建設会社です。
髙松コンストラクショングループ株式会社
1917年創業の建設会社で、民間建築や土木工事を手掛けています。
株式会社ザイモック
大工工事に特化し、業績を伸ばしている企業です。
経験者の口コミ(外部サイト)
加藤さんは、サラリーマン時代に趣味のDIYが高じて木材商社へ転職し、その後、観光施設の改修や空き家再生を通じて大工の道へ進みました。彼は「DIYの趣味がこんなにも役立つとは予想外の展開でありがたいことでした」と述べています。
サイトは福田さんは、未経験から大工の道に入り、最初の数ヶ月は体力的な辛さや技術習得の難しさを感じつつも、「完成すれば嬉しいし、体を動かして、お茶も美味い。シンプルなことだけど、幸せな人生の基盤みたいなのはある気がする」と語っています。
サイトは長年の経験を持つ型枠大工の社長は、荷上げ作業の厳しさや天候による作業の大変さを挙げつつも、「自分がやった現場が残っているのを見ると嬉しく感じる」と、仕事のやりがいについて語っています。
サイトは大木さんは、金沢を拠点に各地の現場で活躍し、「大工はそもそもフリーランス的な働き方」と述べ、自身の働き方の最適解を探求しています。
サイトは2023年に新卒入社した大工さんの成長に密着した動画です。
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